「つなぐ」仕事

昨日は日中、家族の用件で他出していました。
巣鴨で独居の姉(88歳)の「元気なうちに姪や甥と会っておきたい」というたっての希望で、招集を
かけ(笑)、東京駅八重洲口から徒歩4分のホテルのレストランで膳を囲みました。

遠くは大阪、長野から駆けつけてくれました。
SNS などの手軽なツールが溢れ、電話で話すことすら少なくなってきた昨今、

「わざわざ」会う

すごくいい会でした。
姉は家で過ごすことが多く殆ど出かけないので、出先では自宅にいるときのような「すぐ横になる」
ことができず少々疲れたようですが、そんなの忘れてしまうほどに10人ほどで会って美味しく楽しく
過ごした時間は、彼女を元気にしました。
家族があって、今の自分があります。
虫がわく、といいますがその虫だって、理由(種)がなければそこにはわきません。
己がそこにあるのには、脈々と繋がってきた命の奇跡があるんです。
それを感謝できる、昨日はそんな会でした。

いわゆる食事会、肩肘張らずに出かけましたが女房殿は姉から譲り受けた着物で出かけました。
当日になってしつけ糸抜いてた…笑
まだ姉が仕事をしていた頃に作ったものですから、おそらく今の女房殿と同じくらいの年恰好の頃
作った着物でしょう。
姉は小さい人ですが、呉服屋さんに

「自分の着丈で作っちゃったら、誰も貰ってくれないよ!」

と忠告され、褄下こそ彼女のサイズですが、着丈も裄も不思議と気持〜ち短い程度。
クリーム地に毘沙門亀甲ベースの大島紬、米寿を口実に集まってもらったので何ともお誂え向き。
帯は私の母が締めていた名古屋帯を合わせて、朱の帯締めと金茶の帯揚げ(情報提供:女房殿)で
譲り受け三昧の装いが出来上がりました。

毘沙門天…七福神の一神に数えられ、財宝や福徳をもたらしてくださるという神様。
その甲冑の文様に使われているのがこの毘沙門亀甲。
譲り受けた人のお祝いの席で袖を通す…譲った人も譲られた人も、着物も嬉しい出来事でした。

姉は姉で、昨秋亡くなった兄(彼女にとってはすぐ下の弟)の嫁さんが縫ってくれたテイラーメイドの
コートを着て出かけました。
体に沿うように作ったその頃を思うと少し小さくなった姉ですが、当時の流行は肩パットがしっかり
入っていて、奇しくもそれに助けられ着姿はいい塩梅でした。
縁のある人が集まる日に、箪笥からそれを選んで袖を通す…いい話だと思いませんか?

***
この年末年始は、車を降りる話が何件も舞い込みました。
年齢的なもの、生活の変化…理由は様々ですが、お声掛け頂けてありがたいです。
我々が手塩にかけてお世話してきた車を、乗ってくださる/乗りたい方の元へ橋渡しができます。

「今と昔」時間をつなぐ、人と車をつなぐ、人と人とのご縁をつなぐ。
我々の仕事は、車を整えることだけではありません。
感性を研ぎ澄まして、研究を怠らず、倫理感も常に勉強しながら1台1台向き合っていきます。
それには、人に支えられる毎日を感謝できる心根がなければ。
昨日、膳を囲みながらそんなことを考えていました。

松の内 のうちに

女房殿ことわたくし、密かにポチ袋を集めています。
集める、というより30年くらいかけて、たまった…の方が自然かな。
旅先で、和紙の産地だったりすると趣のあるのと出会ったりして、つい。

自分で作ったのものも、あります。
IKEA で買った包装紙に水引の切れっ端で。

あげる人(お年玉とかね)を思ってj袋を選ぶのも、楽しい時間です。

さぁ、正月気分はもう終わり。
松も明けて、本格始動…と思ったら、ナニ3連休って?
もー世の中、休んでばっかり…

季節が巡っていく

今日で11月も最後。
朝イチで、たんの和菓子店へ行きました。
クリスマスカードに、ちょっと何か添えたい人が何人かいるので。
目当ては雪だるまのお干菓子。
西洋の雪だるまとは違って、日本の雪だるまは日本人と同じで彫りが深くないので、きっとそれだと
わかるんでしょうが「ずいぶん違うねスノーマン」って思うんじゃないかな。

あとは、主菓子少々と栗蒸し羊羹の切り落とし。
切り落としはきっと朝しかないから…ウフフ。

雪の結晶が押してある、薄浅葱色のねりきりは『風花(かざはな)』、柚子を模したういろうも。
まだ暖かい日もありピンときませんがもう12月です。
和菓子は季節を少々先取りするので、敏感に感じられていいです。
今日は買い求めませんでしたが、寒牡丹と銘がついた主菓子も並んでいました。

以前もココに書きましたが、たんのさんへ行く時は通い籠を持参します。
こういうものを持参すれば、紙袋もらわなくても持ち帰れます。
すごい近所だったり、車で買いに行くのであればお盆とかでも全然アリですよね。

みのりの秋

いいねぇ…
日本の秋だ。

色も鮮やかな数々の干菓子が、籠を開けた瞬間にまず目に飛び込んできます。
まず、目で楽しむ。

松ぼっくり、枝豆、松茸、栗、ぎんなん、稲穂、お芋…
紅葉、桔梗、銀杏、松葉が散らしてあります。

美しいねぇ…それぞれのお干菓子を作ってる光景を思い浮かべても心が踊るけど、誰かが手で籠に
詰めてる様子もまた、考えるだけでワクワクします。

***
和菓子は外国人が喜ぶんです。

「コレ、食べちゃうのか?」

とはいえ、和菓子で表現される『省略の美』みたいなのは彼らにはパっとは理解できない。
饅頭に食紅でちょいっと水色が差してあって、そこに焼ごてでジュジュっと二筋…【 若鮎 】 笑

でもね、拙い英語でもちゃんと説明すると「おぉ〜」ってなるんです。

突然ですが

今月買った本 2冊をご紹介。

右は書き下ろしの歴史小説、半年に1度刊行されてきましたが何と!今回噂によると完結らしく…
惜しくてまだ読んでません笑
終わっちゃうのね…
名残惜しいから、決算終わって時間ができたら一巻からおさらいしちゃおうかしら。

***
左の方は娘の勉強半分、私の趣味半分。
娘は高校へ上がってから、臨書に加え仮名の稽古を始めました。

まだ入り口、いろはから稽古しているのですが変体仮名(平仮名の異体字)が出てき始めていて。
変体仮名とは…
「ろ」は 呂 のほかに、路 でも表現する、とか
「る』は 留 のほかに、流 類 累 でも表現する、とか
「の」は 乃 のほかに、農 能 濃 野 でも表現する、とか

私は大学で江戸を専攻してて、ゼミで仮名草子とかを読んでたのでまぁ…読めます(7割程度)。
娘が書いてきたものや刊行物などを私が読むと、

うゎそんなの読めない読めない…

イヤ読めないと困るでしょオイ
っというわけで、選んだのがこの一冊。
明治時代の小学校で使っていた教科書なども引用しながら、かなりわかりやすい内容です。
仮名草子もそうですが、印刷(版を刷る)なので書よりもわかりやすいんですよね。
見慣れるにはとってもいい!

2人で読んでます笑

仮名にいくつも表現(形)があるだけなので、一見難しいようですが見慣れてくればだんだんと読める
ようになってくるのが不思議なところ。
そして面白くなってくる笑

文学部に進んだわけでもないのに、変体仮名を一緒に読むことになろうとは…
一緒になって読んでて、互いに楽しんでるのがちょっと嬉しい…

基本の「き」だよ

ケーブルテレビで 最近お気に入りのドラマ、フランス発のちょっと変化球の刑事もの。
『アストリッドとラファエル 文書係の事件簿』(原題 : Astrid et Raphaëlle)
主人公の犯罪資料局で働く自閉症の女性アストリッドと女性警視のラファエルが、違いを
徐々に理解し合ってタッグを組み手腕を発揮していく、1話完結のドラマ。
(画像はインターネットから)

几帳面で分析に非常に長けた、警察官を父に持つ自閉症の彼女は日本の文化に精通しており、折り節で
彼女を知るツールとして語られたり、時に彼女の知識が事件解決の鍵になったりもします。

それはさておいて。
アストリッドが毎週決まった日に通う、日本の食材などを扱う商店があります。
店主のタナカさんに幼少の頃の彼女が、買い物の礼をする場面。

* * * * * * * * * * * * * * * * *
アストリッド
感謝 しております

店主タナカ
光栄です、ニールセンさん。でも少し大げさですね。
こう言うほうがいい「ありがとうございます」
日本の礼儀作法はとても細かくて、敬語には3つの種類があります。
場面によって使い分けるのです。
お礼の言葉も、季節や状況によって違うんです。

* * * * * * * * * * * * * * * * *
とある殺人が、パリに根付いた日本のヤクザに関わりがあるようで、そこでも彼女の知識が
捜査の役に立ったり糸口になったり。

アストリッド
お辞儀が相手を怒らせたんです。
あれでは皇族気取りです
(警視が 90度 のお辞儀を)。

* * * * * * * * * * * * * * * * *
別の場面でも、警視は深すぎるお辞儀を…

アストリッド
適切な角度は30度です。
手の位置もダメ
てはももの前に置くんです。
お辞儀には3種類あります。
使い分けないと…


* * * * * * * * * * * * * * * * *
こだわりが強いところはあるけれど、彼女の言っていることは至極真っ当です。
例えば我が家の娘の年代、まぁ学生全般としてもいいか…これを聞いてピンとくるだろうか。

胃袋の上に手を置いちゃうお辞儀は日本のお辞儀じゃないし
顔が上がっちゃってお尻つきだすようなのも、正しい形じゃない
なんでお辞儀して、顔が丸々見えちゃってんのよ
逆に食事の時は、頭頂部が向かいに座る人から見えたら NG
↑ 体が前へ出ず、口が迎えにいってる証拠
お辞儀をしたら、手はももから自然に前へ滑るんだよ…
お尻の下に逆ハの字みたいにピタっと沿わせない!

海外のドラマでサラっと主人公が語るあれこれのほうが、今の日本人の所作よりよっぽども
日本の所作に明るい。
どうなってる?
最近、市中見回しても気になって仕方ない
おかしな所作、おかしな日本語。
あと2年で 50歳ですが、単に私が年を取ったから?それだけ?

毎日が奇跡

昨日は桃の節句でした。
我が家には、ティーンエイジャーの娘が1人。
夫の子たちはもうそれぞれ、自立しています。

ひなまつりは、宮中の人形遊びが起源なんだそうです…相当古いな。
昨晩は、ちらし寿司にしました。
なんでちらし寿司か…よくわかりませんが美味しいからいいです笑

小さいけど蛤を買い、お吸い物にします。
あぁ…生麩のストックがなかったな。

炒り卵と菜の花で、春っぽく。
でんぶは、どピンクにガッツリ着色していないものが買えました。
色味としてはパンチに欠けますが、いいです。

1日1日、命をつなぐことができているって実は奇跡なんじゃないかって、最近娘とよく
話しています。

よくぞここまで無事に大きくなりました!

そんな気持ちで作って、いただきました。
美味しかった、って言ってました。
満足です笑

してもらったことならできるはず。
いつか娘が子を持って、その子にこうやって私がしたようにささやかなご馳走を作る日が
くるんでしょうね。
私も、母が作ってくれたちらし寿司を食べてました。

振袖の話、そのあと

先日美容室へ行った時、ふと思い出して『成人式の支度、予約3年前』の話をしました。
すると、業界から聞こえてくる話を少し聞かせてくれました。

★ここのところの傾向として、数年前から着付け/貸衣装の予約をするのはよくある話。
3年前といえば一般的には高校生。
その頃に決めた着物が、いざ成人を迎える頃になると今の好みと違う…っていう事態が
まま発生してるんだとか。
あの時はピンクの着物とか選んじゃったけど、今は正直着たくない…
でも、もう選び直せない。

★お母様の、たまーにおばあちゃまの振袖を持ち込む人もいるけど、裄(背中心から手首辺りまでの
長さ)が合ってないとか身丈がカツッカツとか。

これについては、着物はある程度なら丈を出したりも可能なので、早い段階で直しに出して
おけば防げるトラブルです。
これは正直、本人というより親(つまり私らの世代)の問題。

こんなこともできないなら、いっそ着ない方がいいよ。
もう振袖を着ることが、イベント化してるんですきっと。
ちょうど私は親の年代、恥ずかしく思います。
娘が小3の頃だったかな…町内のお祭りにみんなで浴衣を着ていくことになって。
待ち合わせした女の子の1人が、右前で現れ娘は仰天。
待ち合わせは我が家のすぐそばだったので
「ママが直してくれるよ!」
と言ったそうですが、お友達曰く「お母さんがこうだと言ってたからいいよ…」と。
子どもなりに着せ付けてくれたお母さんに配慮したんでしょうが。
短く仕立てられた裾に、レースがヒラヒラついてる女児の浴衣?とか…
もはや、浴衣じゃないし。

小学校で、文化の授業をちゃんと設けた方がいい。
道徳の授業は、いじめとか取り上げるのも必要だけど、所作とか作法とか、日本人としての
知識を授けるべきです。
あーそこで気をつけなきゃいけないのは、胃袋あたりに手を重ねてお辞儀するのは
日本のお辞儀じゃないですから。

百貨店とかの『ご案内』にいる受付嬢的な女性
マーケットのレジさん
都市銀行の『ご案内』の人…

いっぱいいますよね、胃袋に手を当ててお辞儀するように教育されてるんです。
つまり、何を授けるか、なんですよね。
授ける側、何をどう授けるかを決める側の…
もう遅いのかな…

ちなみに日本のお辞儀は自然に下ろした腕が、お辞儀をすることで自然に前に滑ります。

いちご 大根 針仕事

定休日。
店主も従業員も野暮用。
稼働してる日になんざぁ、やってられんことは休みの日に。
グリーン x 紺 x 茶(どのみち地味…)リンクコーデになりました。

今年はいちごの出来が良くないのかな…あんまり美味しいいちごに出会えていません。
マーケットで一杯いくら、のいちごを求めていちごジャムにします。
煮込む、とかってお台所の『冬の活動』ですよね。

こんなにごそっとあっても、340g 入るビンに2つ分しかできなかった…けど、いちごと砂糖しか使ってませんからきっと美味しいはず。
次は、酸っぱくて仕方ないオレンジ?っぽいのを成敗します。
夏みかんのマーマレードも同様ですが、オレンジジュース少し足して作ってます。


大根は旬のピークを越したのかな…マーケットでうず高く積まれていますが、だんだん1本1本が小さくなってきました。
とはいえまだまだみずみずしいし、まだまだ寒いし、ハフハフ食べるふろふき大根の支度を。
大根を剥くと皮が出ますよね(当たり前)。
我が家では大根の皮も頂きます。
気持ち水分を飛ばして、ごま油で香ばしくきんぴらにします。

七味とごまは定番。
我が家では海苔を手で細かくして和えます…お醤油味に合わないわけありませんよね!

ってことで、ふろふき大根の支度もできました ♪
あとは、手前味噌をお出汁で伸ばして、甘く仕上げて頂きます。

今日の夕食は夫の担当…そう、餃子です。
餃子の日は基本、何もしません笑
ニラを刻むくらいしてあげる日もありますが…
何せ包ませたら、私が1ヶ包む間に3ヶは出来上がってますから、全部やってもらうが一番。
ぜーんぶやってもらってるので(やったことは食べることだけ)画像すらありません。

***
洗い物は私がして、夫は娘と映画鑑賞。
私は横目で見ながら…半襦袢に半襟をつけていました。

半襟は基本 白ですが、松坂もめん(天然藍で先染した糸で織った木綿)に合わせるので、
おうど色の半襟をつけてみます。

しんしんと雪が降ったりしているわけではないけど、冬の夜長に針仕事 ちょっと好きです。

【 再掲 】我が家のお雛様は「左上右下」

昨年、師走の手前でウェブサイトがすっ飛んで。
店主の家の習慣なども好きに綴っていましたが消えたので、懲りもせずまた。
今日は我が家のお雛様の飾り方。

我が家は向かって右に男雛、左に女雛と飾ります。
私がそうしたくてしていることですが、関東は反対のことが多いです。

左上右下(さじょううげ)
飛鳥時代、唐の国から伝わったとされるこの考え方。
日本の伝統的な礼法の一で、北に座す不動の北極星を背にした時に、どっちが上座か…
北を背にすると太陽が昇ってくる東は『左』。
よって左のほうが位が上、と考えます。
もっと言うと…
東は日が昇る(=物事が始まる)→ 春 とか
それぞれ方位を司る四神(しじん:方位を司る神)がいて…
説明が面倒なので、ざっくりすぎますが抜粋!

こうやって見ると、さりげなく聞き覚えのあるものがちらほらないですか?
『青春』『白虎(隊)』『(北原)白秋』『朱雀(門)』…
皇太子のことを東宮とも呼びますが、帝より若くこれからの世代だから。
春宮でも「とうぐう」と読ませます。
大相撲の土俵とその吊り屋根も実は、五行が反映されています。

東に緑(青)の房
南に赤の房
西に白の房
北に黒の房
そして中央(土俵)は黄色

日本でもずっとその考え方できましたが、明治時代になって皇室が西洋の様式を取り入れる
ようになり、右が上( right = 右 / 正しい ですよね)の考え方が台頭してきた、というわけ。
京雛は 左上右下
関東は 右上左下
いいの、我が家(私)は昔ながらの礼法に則って飾ります。
ゴチャゴチャしていてあいすみません…でもココは皆がいつも居る場所なので。

この立雛は私の得意技、吉野雛です。
友人に姫が生まれた、ってぇと取り寄せて贈ります。

2016年、マン島の首都ダグラスの市長さんを表敬訪問した時も、貢ぎ物にしました。
当時の市長さんがラリースト+ミニのエンスージャストで、あちらから人を介してお声掛かりが
あったのですが…
面会はレッキ(ラリーで使うステージの試走)の合間で調整、ジャケットこそ羽織っていた
ものの、明らかに迎える側(市長と令夫人)と装いに差が…
これは、私としては和装で望むようなことだったんじゃぁ…
(聞かされてなかったし、話を取り次いでくれた人もシャツにスラックスだった笑)

ダグラス市の紋章など頂いてしまい…
吉野雛に救われました。

***
これは過去の写真です…まだ出してない笑
早く出さなきゃ、拙宅の姫が行き遅れちゃう!(あ、それは仕舞う時か)