ラリーのサービス

10月中旬に控えている全日本ラリー ハイランドマスターズ。
今回はグレイス店主こと氣谷と、クラブのメンバーの 1275GT オーナーがドライバーデビューと
以前ここに書きました。

ラリーは、走る人だけでは成り立ちません。
主役と取られそうですが…確かに車が時間に支配されて走ってラリーは進行していくので主格では
あるかもしれません。
でも!
走る人だけじゃ成り立たないんです。
運営サイドには沢山の人が関わっています…本陣で動かす人、競技を回すマーシャルの皆さん、
コースを走るに足るか最終チェックするセーフティカーや、皆が走った後のチェックをする追い上げ…
そして競技者を待ち受ける「サービス」は、欠くことはできません。

規則によって定められた時間に、定められた場所で車を整えます。
時間が限られているので仮に要整備箇所が生じたとして、どの整備を優先するか即座に決定しなければ
なりません。
時間内に終わらせる技術力も培われます。
こう書くと整備にばかり目がいきますが、サービスはメカニックの独壇場ではないんです。
ジャッキで上げる/下げるを毎回担う人、タイヤ脱着 / 空気圧まで責任持って行う人、窓だけ拭く人、
時間を徹底的に管理する人、雪をホイールハウスから取り除いて作業スペースからかき出す人…

上に挙げた細々として作業は、メカニックでなくても担えます。
自分ができることを責任持って行う、その集合体がサービスなんです。

ちなみに、特別なスキルが無くても担えますが、何度も続ければその作業 / 仕事のエクスパートに!
「人は経験の生き物」ですから。

娘は小学生の頃からラリーのサービスに居て、私が「時間」の管理者に任命。
以来、時間を管理しながら、他のクルーと連携してホワイトボードの管理などもこなします。


企業がチームにスポンサー、よくある話です。
金銭的なもの・商品の提供などの他に、これは外国で見かけるのですがユニークな「出資」をしている
ケースがあります。
サービスに人を派遣するんです。
例えば人事課の人とか人材育成の立場の人、とか。
サービスは有事には「猫の手も借りたい」ので、頭数があるのは何よりありがたい、大歓迎。
それこそ食料調達だって人出が要ります。
何もなければ平和そのものですが、ひとたび何か起きてしまうとギリッギリのカツッカツ。
しかも予定できない。
(何が壊れる、壊れない…なんて予定組めません笑 できれば何もないのが一番いいんだから)
そんな中で、キリっと判断して優先事項を淡々とこなしたり、限られた条件で最上の作業をする、
そんな体験ができるのが、サービス。
予行演習とかないので、集中力や精神力も培われます。
(でも、「想定」して臨みます…どれだけ想定してるかも実は能力のうち)
企業として、畑違いの場所でも集中して自分ができることを探して自分の力を出す、そういう場に
人材を送り込む…
人材育成や、人を「見たり」するのに格好の機会だったりするんです。
あるクラブ員が、初めてチームのサービスに参加した時にこんな風に言いました。

「新人研修はココでやればいい、すごく勉強になるのに」


さて。
10月に開催される全日本ラリー ハイランドマスターズ(高山)へはクラブから2台、選手権外
クラス(オープン)に参戦します。
グレイスのお客様も入れるとミニ3台。

先着1名、サービス員を募集します!
もちろん経験は問いません笑
(経験者を探す方がむしろ大変)
ラリーに興味がある人、ミニに興味がある人、歓迎です。
ご質問等はメールでもお電話でも、ご連絡ください!

店主クルーは木曜午後に現地へ向けて発ちます。
金曜日は早朝から Recce(ステージの試走)があるので、前日のうちに現地に入ります。
金曜早朝にはサービスクルーが横浜発、パラパラと現地に入ってそれぞれがそれぞれの準備をします。
本戦は土・日の2日間です。

個人的なことですが

昨日ここで紹介した通り、個人的なことですが車を購入しました。

ラリー仲間の
先輩の
巨匠と呼んでる
その人の
ラリー車を
彼の引退に伴い
譲り受け
はるばる日本へ

ようこそ!日本へ

港ででは一発始動。
さて、おろすか〜 の段階で ウンともスンとも。
スターターが逝ってました…

ちょうど同じものを在庫していたので交換して、再び一発始動。
まずしたことは…スチーム洗浄でした。

おかえり2023

5月に、マン島で一緒に走ってきたゴキゲンなアイツがやっと帰ってきました。

お か え り。
…今年はゼッケンの数字がデッカかったね。

ホントは7月下旬入港予定だったのですが、その頃は台風がノロノロとアジア近海を荒らしていて
あちこちで足止め、ようやくおうちに帰ってきました。
どちらさんも足止めでしたから、入港するのはどちらさんも似通ったタイミング。
悪天候で着陸できずにいた飛行機が一斉に降りだして、ゲートが満杯…まさにあの感じでした。

3月に出発して以来はや半年…ホントにこの子は日本にいる時間が短くて。
海運の期間が長いゆえに生じたトラブルが、本番で出てしまい悩まされることもありました。
文字通り、苦楽を共にしている相棒です。
行きは 20ft で出かけて行ったこの子ですが、帰りは 40ft で帰ってきました。
同梱購入品もありましたが、帰りはお供の車がいたんです。

我々がココで「巨匠」と呼んできた Peter さんの Cooper’S’。
彼がステージラリーを引退するにあたり、そのマシンを私は譲り受けることにしたんです。
健康上の不安などもあり引退は数年前にしたはず…でした。
が撤回、引退のラリーはお前(Shinobu)と一緒の時にする、とパンデミックも経てずっとこの時を
待ってくれていました。
今回一緒に走るにあたって、彼の Cooper’S’ を引き継ぎたい…という想いを持って出かけていました。
現地で、この車はどうするのかを尋ねたところ、売りに出すというので真っ先に手を挙げて譲り
受けることになった、というわけ。
決して安い買い物ではないけど、また頑張って働きますそしてヒストリーを引き続き紡ぎます。
巨匠自ら、スポンサーである Mini Spare Centre のウェブサイトで、マン島ラリーのレポートと共に
売却の事にも触れていますので是非読んでみてください。

Manx Rally 2023 by Peter Horsburgh

***
今日は自分の競技車と同梱の物品を持ち帰りました。
明日はいよいよ、巨匠から譲り受けた Cooper’S’ 277BRX を連れてきます。

夏休みっぽいのを、ちょいと。

子どもたちは夏休み。
娘も、さすがに宿題がわんさか出るような年でもないのでこういうの、なんか懐かしくて。

コレは夏の宿題ではありませんが、絵日記。
毎年、秋には学校を2週間休んで親の渡英に同行していたので、大抵何某か宿題が出されます。
2014年、2年生の娘が書いた、ラリーフィニッシュの日の絵日記。

何よりもデカく書かれている時計は、TC の看板。
ミニが小さく描かれているのは、手前から奥へフィニッシュラインを走り去るところだから。
右のとんがり三角は、進行方向が一定以上の角度で曲がる時(何°だったかな…忘れました)に
その方向を示すもの。
彼女はそのサインを理解してるから、ちゃんと描いてる。

石塀の隙間から、草が生えてるのもさりげなく描いてある。
砕いた石を積んでるから形も大きさもまちまち、隙間ができてそこから草が生えるのはお約束。
(こんな感じ、ちなみにココはウェールズの Chepstow という町の、町をぐるりと囲む壁)

ラリーを知ってる人が見ると、ニンマリしちゃう絵日記なのでした。

旅のおまけ『Castletown “George Hotel”』

キャッスルタウンは、マン島の南西部に位置する海沿いの町。
その昔は首都だったそうで、イギリスの「保存状態の良いお城」ベスト5に数えられる
Castle Rushen があることで知られます。

お城のそばにはモニュメントがあり…
(画像は Wikipedia より。お城側からモニュメントを見たところ。)

ラリーの時だけ、車道から右へ向かい広場(当時は時間貸の駐車スペースとして使用)を通って
奥を回ってモニュメントをシケイン代わりに使う名物コーナーがありました。
下の写真は 2009年 Rally Isle of Man の 氣谷・溝井組が、モニュメントをパスするところ。

キャッスルタウンは、我々の定宿 Sefton Express がある Ballasalla (バラサラ)からほど近く、
ご飯を食べに行くにも便利なところです。
1枚目の写真、モニュメントの向かって右に写り込むのは George Hotel 1階はパブになっていて、
いつも我々の胃袋がお世話になっています笑
今年もお世話になりました〜

正面の入り口の上はバルコニーになっていて、かつてのラリーではキャッスルタウンのタウンステージ
実況をしていたこともありました

バルコニーを見上げながら、長い指で持ったマイクをこちらへ向ける Bob さんを思い出していました。
戻ってきたよ。

Manx National Rally 2023 Awards Presentation

7pm から、表彰式がありました。
暫定リザルトに見ると、どうも我々はクラス3位になった模様。
翌日、大慌てで帰らなくてよくなった(フェリーがずれた)ので、まずは行きつけ(笑)の
Whitestone Inn(Ballasalla)で腹ごしらえをして、向かうことにします。
ラリーが終わってホテルから戻る時に立ち寄って、Booking を済ませてありました…完璧です笑

Awards Presentation 会場、Douglas のイベントホール ” Woodbourne House
外には Fish&Chips を供する Food Truck が来ており、室内では各種ドリンクを買うことができます。
遅れること約1時間…やっと始まりました。
主催クラブである Manx Autosport から挨拶があり、続いて各クラス1位〜3位の表彰へと移ります。
H1 クラス(ヒストリックの排気量が小さいクラス)の表彰。
それからまさかの Best International Crew もいただきました。
イギリスが EU から離脱してからは、ヨーロッパ圏との行き来について各種手続きが大変になり、
(ま、我々はいちいちそれをやってるんですけどね)イギリス➡︎ヨーロッパ/ヨーロッパ➡︎イギリスと
イベントに行くことが激減しているようで、このイベントでも海外からのエントリーはほとんど
ありませんでした。(アメリカ在住のイギリス人、的な人には何人も会いました)
というわけで、いただきました笑

H1 のメンバーと、パチリ。

いろいろ大変だったけど、頑張って行ってよかった。
やっとローカルと渡り合えるようになった…気がします。

翌日のフェリーは取れなかったので、1日島でゆっくり過ごします。
次の投稿からは『旅のおまけ』へ移行して、道中のあれこれをしばらく綴っていきます。

Manx National Rally 2023 “Leg 2”

Leg1 その1はこちら
Leg1 その2はこちら

波乱に満ちた(笑)ラリーのスタート。
Leg1 最終ステージの SS 4 で不運を断ち切って、次の Leg につなげたいところ。
しばしひと呼吸。
我々が Leg1 をフィニッシュのちややあって、シングルゼッケンは Leg2 スタートしていきます。
それにしても、なんていい天気なんでしょう!イギリスのくせに!笑

そうそう、毎回マン島の車検でお世話になっていた、HRCR のメンバー(現在は Chairman!)でも
ある Paul さんに今年も会えました。

2018年のマン島ラリーがキャンセルになった時は、本当に怒っていたのをよく覚えています。
「もう2度と Rally Isle of Man には関わらない!」
ま、歴史も伝統もあった Rally Isle of Man は残念消滅してしまいましたが。
(我々が今回出ているのは、マン島のモータースポーツクラブ主催のステージラリーです)

2019年、ベルギーの車検場で再会、「ココで会えると思ってなかった!」と大変喜んでくれました。

今回は車検をサービスに任せたので(Recce でそれどころじゃなかった)、その時は会えなかったの
ですが Marine Drive を使う Shakedown と SS5 Keristal のスタートにマーシャルとして居て、
そこで 会うことができました。
タイムカードに前走車両のゼッケンを記入する欄があるのですが、スタート前の競技者たちに
そこの記入を促していました。

「よく戻ってきた!」
今回、夫は何人にこの言葉をかけられたか知れません。
島の人たち、島のラリーに来るラリーストたちの温かさが、骨身に沁みました。
再び来る、なかなか険しい道のりでしたが、戻ってよかったと2人で話しました。
コ・ドライバーの私にまで、声をかけてくれる人 多数…
just sitting… I am light weight ❤︎ では済まない感じになってきました…

イベント中、どのタイミングだったか忘れましたが…確か2日目の午前中…前述のアプリに1件の
通知が届きました。

見ての通り、少なくとも5人のマーシャルが必要、求む!という主催者からのオファー。
リタイヤするクルーも少なくないので…
きっと車検委員の Paul さんも、人手不足からステージのマーシャルを買って出たんでしょう。
携わる皆でできあがる一ビッグプロジェクト、しかもかなり危険なことをしていますから…
日本から実に 6,000マイル。
遠く離れたこんなところで、いろいろな立場の人に支えられて、私たちは走っていられます。
何としても今年は完走したい。

***
閑話休題。
Leg2 が始まります。
Marine Drive “SS5” を走ってから、島の南へと向かいます。
Leg1 で走った、10マイル規制の磯づたいの道を続けて2度走るステージです。
日が暮れてきました。

給油をどこでしようか悩んでいましたが、もう閉まっているかと思っていた場末のスタンドがまだ
開いていたので飛び込んで(そしたら後からもう1台飛び込んできた笑)どうにか間に合いました。

ステージの方も着々と刻み、ついにSS8 でローカルヒーローを抑えてクラストップタイムを叩き出し、
満足のうちに夜の部を終えました。
最終 SS9 は、山の向こうから山へ上がって一気に下りてくる約18.5km のハイスピードステージ。
山の上では霧が!
乱反射してしまうので補助灯4つのうちスポットは消して、ノートとあとはセンターラインを見て
乗り切ったそうです。
(翌日、他のクルーに聞いたところによると、シングル&2ケタゼッケンあたりまでは、霧を食らわな
かったみたいです)
途中には、過去にスピンした深いコーナーもありましたが、そこもなんとかこなして。

車はすこぶる調子が良く、ジャンプの末にサンプガード(つまり車の腹のガード)を強く打つ、
そんな場面も何度となくありましたが、消耗だけでほぼ無傷で戻ってきました。
良い子、この子が一番頑張ってる!とひとしきり労いました。
もう使わない補助灯を外し、ひと通りのメンテナンスを終えホテルに戻る前に、サービスクルーが
日本から持ってきてくれた夜食(今回はそうめん!)で軽くお腹を満たして…消灯。

Manx National Rally 2023 “Leg 3” へつづく

Manx National Rally 2023 “Leg 1” その2

Leg1 その1はこちら

SS3 フィニッシュ直後に、時間はあるかとドライバーが尋ねます。

次の SS4 のスタートは近い(ATC まで与えられている時間は6分)んです…
そして、SS4 でレグ切れ。
ということは、各セクション毎に与えられるペナルティーフリーの15分が本当にあるんだとしたら、
何か策が講じられるかも。


時間はある!と私は答え、ドライバーは十字路を右に行くところを直進してすぐの広い場所で、
早速フードを開けてエンジンベイを覗き込みます。
コンタクトポイント(残念なことに新品)の不具合で、例の失火は起きていました。
私も1度は車を降りたものの、人の手や力は不要っぽかったので走り出しに備えてさっさと助手席へ
戻りました。
案の定、わずか数分で応急処置は完了、時間も大丈夫でした。

そして迎えた SS4 。
すっかり復調!
ステージ3本分のフラストレーションを一気に発散…
このステージは名物コーナー(我々は金子コーナーと呼んでいる)を通って、これまた名物の地点を
通って行く短めのステージ。
“Cattle Grid” をいくつも通過するのが特徴です。
Cattle Grid とは、蹄の動物(羊や牛など)が嫌がって敷地から出ない仕掛けで、路面は隙間の空いた
パイプです(=路面が変わる+滑る+ゲートが狭いので進入の姿勢をフラットにする必要あり)。

Special Stage の LIVE でもかっ飛んでいく我々のミニ car131 が紹介されました。
(2:10:02あたりから)

仲間が観戦していた、金子コーナーを行く我々。
ここまでは狭くデコボコした道を激しく上ってきて、ココで鋭角に右折、この先は広い道を走り
上に貼った LIVE のカメラが構えていたポイントへ進んでいきます。

やっとこのステージで3番時計(クラス3位タイム)、乗ってる側はそこまで怖さは感じません…
特に広い道では、自作のペースノートの効果も充分に発揮できていると感じました。
ドライバーは本当に走りやすかったようです。
これまでの3本の不調が、誠に悔やまれるところですがこれもラリー。
Leg 2 が始まるまでの間、しばし休憩です。
腹ごしらえをしつつ(食べっぱなしなのでナゲットとチップスです)

アイルランドのミニクラブの親子と交流したり…
坊やからステッカーもらったので右クォーターガラスに貼りました、丸いのです。
お礼に、持参した和三盆糖の干菓子をあげました。

完全復調、Leg2 はどうなるでしょう…
日没が遅いとはいえ、かつてのラリーからするとLeg2 5本と少なめとはいえ…
サービスナシのぶっ通し。
車を壊さず、無事1日を終えられるように。

Manx National Rally 2023 “Leg 2” その1につづく

Manx National Rally 2023 “Leg 1” その1

本大会は夕方、Leg 切れがあります。
日中3時間ほど走ってひと区切り、夕暮れを待って(といっても日没は910pm頃)ナイトステージが
用意されています。

3年ぶりの海外ラリー。
当たり前のことですが、英語で表示されるいろんな情報にドギマギ、ナショナルルールにハラハラ
しながら手探りで、でも時間は刻々と進んでいきます。

2019年にベルギーに遠征した時、スマートフォンに入れるよう指示されたアプリがありました。

“Sportity”
公式通知等そこに公示され、ラリーの HQ(本部)に掲示板がなくておったまげたことを思い出しましたが、今回もこのアプリに情報が飛んでくるだけでなく、ロードブックも発行されたら
アプリから閲覧することができたりと、随分とラリーの情報伝達の方法が進化していました。
このアプリはどうやら、欧州のラリーではポピュラーみたいです。


まずは Shakedown 。
全日本とは違うスピード域、それと島特有の道…走らせてもらえるのは1度きりですが噛みしめて
走ります。
前述の通り、この島のステージのペースノートを初めて作ったので、その感触も確かめます。
ちなみに Shakedown で走るステージは SS5 のショート版(手前でフィニッシュ)なので、
SS5 Keristal の練習にもなります。
ここは Marine Drive と呼ばれた名物コースで、かつてはスタートが石のゲートからでした。

その昔はトラムが走っていたんですよ!(画像はインターネットから)

首都ダグラスから南へ続く海岸沿いの断崖に作られた、海を一望できる見晴らしのいい道です。

まずまずの好感触で走ってサービスに戻り、キャブレータを少々調整…いよいよ本番です。
140台(出走は138台)が1分毎にスタート、つまりラリーの開始地点(TTグランドスタンド)から
出て行くだけで2時間以上かかるんです。
島の国内格式のイベントはいえ、久々の大きいイベントに気持ちも高ぶります。

131号車でしたからトップから遅れること2時間と少し、我々のラリーが始まりました。
SS1 / 2 は、島の南を西から東へ走る短いステージ、途中には普段の制限速度 10 マイル(16km/h)
の磯づたいの道を全開で走ります笑
かつては、古(いにしえ)の首都キャッスルタウンのタウンステージの後半がココの逆走、我々は
反対側から走った経験があります。(画像は Gogle Map のストリートビュー)

いよいよスタート!あれ…4,500回転以上吹け上がらない…
10マイル制限に入るまでの道はいわゆる島の幹線道路(A ロード)なので、サーキットよろしく
ペースノートに導かれながらスピードを伸ばしたいところ、ですが…吹けない。
無理してムチをくれたところでかえってエンジンにダメージを与えます。
(ドライバーにはもう、何が原因かわかっていたようです)
ですので、もう仕方ない流して走っていました。

これは SS1 のリザルトですが、”H1″クラスのケツっぺた。
SS2 も同様、SS3 は巨匠こと Peter さんが in Ditch(土手に乗り上げ溝にハマってた)で抜けるのに
時間がかかったため。

このままじゃ6年ぶりだってぇのに、結果はおろか車をぶっ壊すことにもなりかねない。
車をさっさと停めて策を講じればいいのですが、マン島のラリーはとにかく移動区間(リエゾン)の
時間がギリッギリ!
しかも、リエゾンで給油もしなきゃならない。
今回ローカルルールで、各セクション毎にペナルティフリーの15分が各コンペティターに与えられる
って書いてあったけど…ホントか?給油で使い切っちゃうんじゃないのか?
SS3 までステージを流して走っていたのには、途中で停まって直せない…こういう事情がありました。

さぁ直せるか、時間は足りるのか…

“Leg1” その2へつづく

Manx National 2023 “Recce”

グレイス店主がマン島のラリーに復帰したのが2009年。
2010年リーマンショック、2011年イベントキャンセル。
2012年はもう1台伴なって2台で。
2013年からは、グレイス店主こと夫の隣に女房殿こと私が乗るようになりました。
2015・2016年には Team Japan として4台!マン島で共に走りました。
2017年を最後に Rally Isle of Man は幕引きとなり、実に6年ぶりの島でのラリー。
もともと島にあった、島のクラブが主宰する大きいラリーに今回照準を合わせました。


これまでのマン島でのラリーは、ペースノートを購入していました。
読む側としては、合ってる(間違いない)ものを読むので気が楽だったのですが、運ちゃんは
だいぶ事情が違ったようです。
大抵の場合、購入するペースノートはいわゆる『速い』車で作っていることが多く、スピード域が
違う我々とは、コーナーの番数(コーナーの深さを数字で表現します)やそれこそジャンプの数なども
違ってきます。
運ちゃんは、読まれればそれに合わせちゃう…だからペースやタイミングが今イチで自分の走りかと
言われたらそうではなかったらしいのです。

全日本で自分のノートは毎度作っていました。
今年マン島に復帰するにあたって、ハナからペースノートは自分らで作ることにしていました。
昨年ベースで、レッキ(試走:ステージの下見が許される日)は2日あると踏んでいました。
ところが蓋を開けたら…1日だけ。
前の週末日曜日に行うか、直前の木曜に行うか。
どちらにしても、1日だけ(これは厳しい…)。
その限られた時間でのべ17本のステージをこなさねば。

ギリギリの時間の中で、道を確認しながら道の形状を拾っていきます。
実際のステージスピードをイメージしながら、ゆっくりとしたスピードで確認します。
間違っても、全日本に時々居るような「練習してるダロ」的な人はいません。
事前に作っておいたロードブックの切り取りが大いに役に立ちました…

ステージの数々は、それはそれはよくできていて。
スタートが同じで、短いステージと長いステージが用意されているのはよくあることですが、
違う地点からスタートする2本のステージが、ある地点からルートを共有してフィニッシュ一緒、
という仕掛けもあり。
試走の時間を短縮するために、Final Instruction にはどのステージのどの区間、交互通行を許可する旨
記されていました。
つまり、一部の区間は来た道を戻って効率よく運ぶよう、主催者がが配慮してくれているというわけ。
ちなみにあちらは、日本のラリーでいうコミュニケーション(ラリー運営に係る細々した連絡事項)が
ラリー開催の少し前にまとめて公示されます。


今回は「この先マン島走りたい!」という、現在全日本に出て研鑽を積んでいるドライバーを連れて
行きました。
レッキは彼を乗せて、まぁ途中で降ろして…なんて思っていましたがどっこい。
お昼を食べる間もなく、飲み物やスナックを買うような時間もなく、とにかく830 – 1830 近くまで
ぶっ通しでのレッキとなりました。

今回同行しない娘 Aoi Kitani に、御守代わりに表紙絵を描いてもらって、持参しました。
娘は一緒でないことは一度もなかったので、終始変な感じでした…

夫が、ペースノートは自作なんだ!と吹いてまわった為、いろんな人が私が書いたノートを見に
やってきました。
日本語表記と英表記、mix のそれは現地の人たちに大いにウケて、表紙と中とを写真に撮ってました。

全て清書するには時間もなく、かといってターマックラリーとは言いつつも非常に道の悪いマン島の
舗装路を下調べしながら走り書きしたノートでは、非常に見づらいところもあり。
加えて上に書いた、ステージルートの組み合わせの妙で、ノートを完成させる必要があり…
明け方近くまでペースノートの整理は続きました。

さて翌日は本番。
時間管理もローカルルールが適用され、ちょっとよくわからんところもあり…
気になりますが、いよいよ昼過ぎから始まります。

Manx National 2023 “Leg1” へつづく