蒸気機関車は、19世紀に発展した乗り物です。
それまでの馬という動力に代わって出現し、人の暮らしを飛躍的に便利に、そして豊かにしました。
スピードもさることながらその運搬能力が物流を変革し、ディーゼル機関車と共に産業発展に大きく貢献しました。
言わずもがな、産業革命を支えた流通が機関車であります。

やがて時は流れ20世紀、自動車の台頭と進化により衰退の一途を辿ります。

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私の訪れたことのある国々(いずれも英連邦)では、20世紀終盤から文化遺産としての価値を見いだされ、
一度はお払い箱になった機関車たちが『観光資源として』再び路線を走る姿が見られるようになりました。

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あちらの『保存』の考え。
外観はもちろん機能が保たれていることが、保存。
よく自動車の保存状態を表現するのに “Museum Condition” という言い方がされますが、博物館の中にあるものは
全部ちゃんと動きます。
つまり、ちゃんと機能を果たす上に、飾っていい位ビカビカ!ということ。
それが ” Museum Condition” です。

外観だけでないとなると、機関を良好に保つ部門も充実していなければなりません。
機関をオーバーホールするところだって、ちゃんとあります。
Mini のパネルの調達などでたまにお世話になるところは、別部門でスチームエンジンの製造や修理、
復元に取り組んでいます。

それを取り巻くものも、後へ継がれる取り組みがなされています。
例えば人のスキル。
当時現役の運転手さん(もうだいぶ高齢です)が、昔を懐かしむように汽車を動かします。

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その後ろには、張り付くように若者の姿が…
機械特有の微妙な匙加減まで、人から人へ継がれていっています。

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また、切符の窓口、駅員、構内作業員…その殆どが、ボランティアで運営されています。
乗客が払う乗車賃は、いわば寄付。
神社仏閣の拝観料のようなものですね。
維持や運営に充てられます。

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観光資源として地域に誇りと活気を与え、技術遺産として記憶にそして技術が人から人へ伝えられていく。
授業の一環として、先生が引率して子どもたちがガヤガヤ乗って来ることもあります。
社会科見学ですね。

次の代を担う人たちも知っていること、実感していることが大事なんですね。
日本人がいちばん、おざなりにしているところでしょうか。