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イギリスの各地で、屋根の落ちた修道院跡をみかけます。
それらは Abbey と呼ばれ、かつて人々が集ったであろう建屋の中は、豊かな緑に覆われまるで時間が止まったかのように、
長い時間を超えて静かにそこにたたずんでいます。
地震もないのに?通い始めた頃は不思議に思っていました。
歴史を紐解くと…

16世紀前半、イングランドチューダー朝のヘンリー8世の時代。
世継ぎ問題の不安から、自分の結婚を無効化する為に教皇に許可を仰ぐもあえなく却下。
それならと王自らが親分になり、カトリック教会からイギリス国教会を分離成立、これがイングランドの宗教改革です。
王ヘンリーは生涯で離婚すること5回、6人の妃を娶りました。
それに伴い『修道院解散令』を発令、カトリックの修道院は次々と閉鎖され荒廃していきました。
Abbey がたくさんあるのは、こうした歴史背景があるんです。

廃墟と化しているところもあれば、人の手によって程よく維持されているところもあります。
これはScottish Borders の Kelso Abbey 。

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立派な建造物であったであろうことが、偲ばれます。
Jedburgh Abbey

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Jedburgh Abbey の表通りの名前は “Abbey Place” 。
権力によって祈りの場としては使われなくなっても、永く人々の暮らしに溶け込んでいます。
昔ながらの地名がなくならないのって、うらやましいです。

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グレイスがある横浜市栄区上郷町。
ひとつ山を超えればそこは、武士の古都鎌倉です。
この辺りの旧住所は『字源氏ヶ丘』。
字(あざ)は江戸の時代から使われていた土地の区分で、詳細は不明ですがおそらく源平の古合戦場であった
ことからでしょう。
10年ほど前までバス停の名前に残っていましたが、それも消えてしまいました。
日本では歴史由来の地名がどんどん消えていきます。
歴史が捨てられていくようで、古いものを扱う側としてはため息をつきたくなります。