新年あけましておめでとうございます。
今年2月、グレイスは30周年を迎えます。

グレイスの仕事のすべては、今日まで私たちに仕事を与えて、車を託して下さった皆々様のおかげです。心より御礼申し上げます。

思い違いをしがちなのですが、私たちは特別な技術者ではありません。私たちの選ぶ車がそもそも素性が良いのです。私たちはそれを損なわないように作業・修復することを心がけているんです。

そんな私たちに一番必要なもの、それは『経験』です。どれだけトライ&エラーを積むかということです。続けてこられたのは、うまくいかなかった(失敗のほうが多いかも)時も、続けて見させていただいたから。正直、上手くいった時はあまり有効なデータにはなりません。数々、大小の挑戦の中で、上手くいかなかったことを何とかした時に、後々の為に必要なデータが残ります。失敗という種をデータとして活かすには、知恵と工夫。こういう場面で培われていきます。

競技の現場に身を置き続けるのも、究極の使用環境でのトライ&エラーから得るものが必要だと考えるからです。私個人の車に時間や労を割くことを快く思わない方も、遠い昔にはいらっしゃいました。ただ続けるうちに、競技から得るものがあるからこそグレイスの車・技術、ということをお客様に深く理解していただけるようになりました。 車両の本質を崩さず道具として・日々の相棒として使えるように私たちが保ち、オーナーにより理解してもらう、そしてその車たちがこの先も残っていく…これこそが、私たちのやるべきことだと思っています。

 
 
店主はこの仕事に就いて今年で39年。まだまだ知りたいことはたくさんありますが、いろんなところに身を置いて、自分で経験してきたつもりです。

本場に飛び込み、積極的に本質に触れてきました。そして本当にラッキーなことに、90年代の競技活動では歴史に残る往年のドライバー達と出会う光栄に恵まれました。彼らの中にあって当時の私は青二才、加えてはるばる極東の国からやってきたという超のつく変わり種だった私。

メカニックが車をもっと知りたくて走りに来てると知られるや、レジェンド達は私に、そして私の作る車に非常に興味をもって接してくれ、本物の中でたくさんの夢のような時間を過ごしました。全部宝物です。そんなお世話になったあの人この人のお悔やみの記事を、クラブの会報誌などで見かけることが増えてきました。もう1度会いたかったと思ったり、自分が彼らと会った頃の彼らの年齢に近づいていることにハッとする最近です。あとどれだけ、何ができるか…そんなことをよく考えます。

ご存知の通り、店主から今の生業を取り上げたら何も残りません。そんな私ですから、見失えない目的があります。殊、MINI という車があって過ごしてきたこの39年、その目的はブレずに今日この日までやってきました。海外の仕事・モータースポーツを通じて、関わったたくさんの人々とは同じ考え・同じ想いがあります。飛び込んでいった私を多くの人々が受け入れてくれたおかげで、今の自分があります。この先も、古い車を通じて物の本質を知るお手伝いをグレイスができれば、そんな存在になりたいと思っています。

30年の節目を迎えるグレイス。少しずつ店主こと私の手から、私の長男の手へと移っていくでしょう。若々しい目と、肥えた(老いた)目と、二層の構えで、もっともっと皆々様に最適なサービスと情報を提案できるよう努力していきます。車だけでなく、環境や周辺知識もさまざま織り交ぜて、伝えられたらと思っています。

重ねて、これまで贔屓にしていただき、また見守り導いて下さりありがとうございました。
皆々様のお力で30年続けてこられたことに心から感謝しています。 これからも宜しくお願い申し上げます。