今回からは、部位ごとに数回に分けて掘り下げていきます。
車の心臓部、エンジンから?…イヤイヤ、最初はサスペンションです。
なぜって…?
車が走るという行為は、道路と接する部分が最も重要だから。

(広告に掲載されている商品車の情報は、2005年当時のものです)

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サスペンションのおはなし

私は夢がありました。MINI の本質を知る為に、ラリーで強かった MINI の真髄に迫る為に「同じことをする」。しかも “MONTE” ではなく過酷なステージラリーで知られる MINI の生まれ故郷である英国で。’89 MANX 〜 ’00 WRC of GB まで。夢でもあり必須科目でもありました。当時の私は、ある程度煮詰まったつもりで英国ラリーへ踏み出しました。が、競技を続けるうちにじわじわ「余計なことをしすぎた」と重いようになりました。競技活動(実際の競技だけでなく車輌制作含め)から得た経験やデータを通じて、MINI の細部にわたっての主旨を理解するに至ったのです。何と懐の深い車でしょうか。車の性能はボディ・サスペンションで殆ど決まってしまいますが、MINI の寸法はまさに FF の黄金律です。これだけ運動力学的に洗練された設計図はありません。誰でも乗れて、スムーズに走り、そして止まるのが MINI です。これが MINI の真の姿なのです。これだけよく出来た車に根拠もなく、いたずらに手を入れるべきではありません。いかなるモデファイを施しても、決して MINI の本質を壊してはならないのです。それが MINI に携わるものとして、このような素晴らしい車を生み出した設計者及びプロジェクトに関わった先人たちへの最大の経緯と思って、日々心がけています。

かといって、いくらノーマルの出来が素晴らしくても、産声をあげてから半世紀近くが経っています。部品の材質や制度も大幅に変化しました。技術の進歩で向上したもの、コストの都合で質の落ちたもの、背景は様々です。例えば車が唯一路面とコンタクトする部位「タイヤ」はバイヤスからラジアルへ、MINI のサスペンションの命とも言える「ラバーコーン」や、各ブッシュ類のゴム質も変化しています。そうした変化を加味して対策しなければ、強度やトータルバランスを損なうおそれがあり、本来の素性を維持することはできません。こうした主旨のモデファイがされた車は実にスムーズで、気むずかしくもなく神経質なこともありません。

グレイスで手がける MINI は、素性・歴史を決して壊しません。クラシックミニスペシャリストを自負する、グレイスのポリシーです。