おかえり2023

5月に、マン島で一緒に走ってきたゴキゲンなアイツがやっと帰ってきました。

お か え り。
…今年はゼッケンの数字がデッカかったね。

ホントは7月下旬入港予定だったのですが、その頃は台風がノロノロとアジア近海を荒らしていて
あちこちで足止め、ようやくおうちに帰ってきました。
どちらさんも足止めでしたから、入港するのはどちらさんも似通ったタイミング。
悪天候で着陸できずにいた飛行機が一斉に降りだして、ゲートが満杯…まさにあの感じでした。

3月に出発して以来はや半年…ホントにこの子は日本にいる時間が短くて。
海運の期間が長いゆえに生じたトラブルが、本番で出てしまい悩まされることもありました。
文字通り、苦楽を共にしている相棒です。
行きは 20ft で出かけて行ったこの子ですが、帰りは 40ft で帰ってきました。
同梱購入品もありましたが、帰りはお供の車がいたんです。

我々がココで「巨匠」と呼んできた Peter さんの Cooper’S’。
彼がステージラリーを引退するにあたり、そのマシンを私は譲り受けることにしたんです。
健康上の不安などもあり引退は数年前にしたはず…でした。
が撤回、引退のラリーはお前(Shinobu)と一緒の時にする、とパンデミックも経てずっとこの時を
待ってくれていました。
今回一緒に走るにあたって、彼の Cooper’S’ を引き継ぎたい…という想いを持って出かけていました。
現地で、この車はどうするのかを尋ねたところ、売りに出すというので真っ先に手を挙げて譲り
受けることになった、というわけ。
決して安い買い物ではないけど、また頑張って働きますそしてヒストリーを引き続き紡ぎます。
巨匠自ら、スポンサーである Mini Spare Centre のウェブサイトで、マン島ラリーのレポートと共に
売却の事にも触れていますので是非読んでみてください。

Manx Rally 2023 by Peter Horsburgh

***
今日は自分の競技車と同梱の物品を持ち帰りました。
明日はいよいよ、巨匠から譲り受けた Cooper’S’ 277BRX を連れてきます。

厚化粧を落とす

先日バラしたエンジン、刷毛でボテボテに塗ってあった塗料を剥がして高圧洗浄機で洗いました。
アチ〜笑

それにしても、何というか厚化粧だったね…

***
より高い安全を得るために、ロールバーも日々進化しています。

例えばハーネスバー。
安全装備の一であるシートベルト(肩ベルト)を生やすための、バー。
(画像は Safety Devices ページより)

ハーネス(肩ベルト)には、力学に照らしてより効果が高い装着方法があります。
下の図は英語とフランス語とで書かれていましたが、啓蒙の一環として日本語も書き添えました。

ミニはスペースが極端に限られているので、それを満たすために開発されました。
せっかく用意しても、効果が薄いんじゃ意味がありませんもの。

夏休みっぽいのを、ちょいと。

子どもたちは夏休み。
娘も、さすがに宿題がわんさか出るような年でもないのでこういうの、なんか懐かしくて。

コレは夏の宿題ではありませんが、絵日記。
毎年、秋には学校を2週間休んで親の渡英に同行していたので、大抵何某か宿題が出されます。
2014年、2年生の娘が書いた、ラリーフィニッシュの日の絵日記。

何よりもデカく書かれている時計は、TC の看板。
ミニが小さく描かれているのは、手前から奥へフィニッシュラインを走り去るところだから。
右のとんがり三角は、進行方向が一定以上の角度で曲がる時(何°だったかな…忘れました)に
その方向を示すもの。
彼女はそのサインを理解してるから、ちゃんと描いてる。

石塀の隙間から、草が生えてるのもさりげなく描いてある。
砕いた石を積んでるから形も大きさもまちまち、隙間ができてそこから草が生えるのはお約束。
(こんな感じ、ちなみにココはウェールズの Chepstow という町の、町をぐるりと囲む壁)

ラリーを知ってる人が見ると、ニンマリしちゃう絵日記なのでした。

プロジェクターがやってきた!

娘がプロジェクターを買いました!
今はスゴい高性能なんですね。
wi-fi につないで YouTube を見たりできるって…
( 2016年の “Special Stage” のRally Isle of Man の特集プログラムを見ています笑)

それにしてもこのプロジェクター、レトロな格好してるんですよね…
(大きさの参考に、リップクリームを置いてみました笑)

聞いたところによると、解像度の高い映像を壁にやたらに映してると壁紙が焼けるみたいです。

旅のおまけ『およそ、倍』

イギリスの現在は物価高が著しく、生活を圧迫しているようです。
Paul の奥さんは、「ざっくり言って 倍」と。

実際あちらに10日間滞在して、食事代(外食)・ガソリン代・レンタカー代・ホテル代…
どれを取っても高かったです。
(写真はマン島 Kirk Michael のガソリンスタンド)
レンタカーはホントに倍、なかなかキツい金額でした…仕方ないけど。
食事も5、6年前から比べると1.5倍強、といったところでしょうか。
もはや £10.00 でメインミールは食べられません。

競技会のエントリーフィーも、もれなく上がっているそうで、
「軒並み £900.00 は下らない!ありえねーよ!」
(ちなみに今回出場した Manx National のエントリーフィーは £750.00 でした)
£900 = ¥150,000 現在のレートでこのくらい。
全日本って全然この位するよ?
しかもサービス車両の登録は別料金だったり(サービス車両がないなんて考えにくいのに)
サービス員の登録が別料金の大会も少なくないし(メカニック誰もいないなんて考えにくいのに)
何よりステージの本数も全然少なければ、距離も随分と短い。
km あたりに換算したら(お肉の量り売りみたいね笑)…
今回の Manx Rally は金・土のイベントで SS は17本。
全日本は…土・日で SS8本〜10本程度、SS 1本あたりの距離も比較になりません。

ま、モータースポーツ後進国の日本と比較しても詮無きことですが…

時間はどんどん経っていく

早いもので5月も終わり。
夢の島での夢のような時間もあっという間に過ぎ去り、夢のような思い出が我々の元に残りました。
形のないもの、時間って(何でもそうか)活かすも殺すも自分次第。
また次、夢のような時間を過ごせるように、一生懸命働くのみです笑

あちらでも、どんどん夢のような時間の余韻は仕舞われていきます。
Southport の Paul から、車両と同梱品のバン詰めの画像が送られてきました。

次コンテナを横浜で開けるのは、約2ヶ月後…かな。
時間はどんどん経っていくのです。

女房殿が書き続けている(笑)『旅のおまけ』は、もう少し続きます。

旅のおまけ『島で4回も会った人』

チャールズ3世の戴冠式の翌日5月7日に日本を発った我々は、翌日8日遅くにフェリーで島に
入りました。
翌9日に飛行機で入ってくるメンバーがいたので、サービスの備品を改めた後に空港へ(歩いて笑)
迎えに行きました。
フライトが少し遅れたらしく、空港でお昼を食べて待つことにしました。
我々の定宿 Sefton Express から徒歩で行かれる島の空港 Ronaldsway Airport は、コンビニ的な店や
さらっとご飯を食べられる簡単なお店もあるので、時間のあるとき散歩がてらゆったり過ごし
たりと、
なかなか便利な場所でもあります。

おばちゃん1人で切り盛りしていますから、食べられるものは限りがありますがでも十分 ❤︎
我々は渡航中の暴飲暴食をなるべく防ぐために、『本日のスープ』をオーダーしました。
あちらは、今でこそ生野菜が満足に食べられるようになりましたが、少し前までは

キュウリ輪切りどんどーん
レタスひらひらー
おしまい
 こんな感じで、まぁ期待できないものでした笑

寒い国だし、野菜は煮込んでスープ(どろっとしてます)が、食事で外さないポイントの1つ。
ココの「本日のスープ」は、かぼちゃのスープカレー&コリアンダー風味。
なかなか美味でした。

ところでこのおばちゃんとは、1週間の滞在中に4回も行き会ったんです。
信じられますか?
毎日空港に会いに行ったわけでもないし(シフトで居ない日もあるだろうしね)
ラリー関係者でもないからグランドスタンドで会ってたわけでもなし。

① 9日 空港でランチを買った時
② 翌朝(10日)キャッスルタウンの大学まで朝散歩に行った時
③ 13日 ラリー後表彰に出かける前に腹ごしらえをした行きつけのパブ Whitestone Inn で
④ 15日 島を出る日の朝

③は土曜の夜。
パートナーの人と一緒で、ピンクのワンピースを着てドレスアップしてました(カワイイ)。

④はフェリーのチェックインに合わせて5時に定宿を出て Ballasalla の町の中心へ向かう道すがら。
出勤前なのか、空港へ向かってスタスタ歩いていた彼女とすれ違いました。
空港で食事を頼んだ時にどこから来たのか尋ねられ、ラリーをしにはるばる日本から来た話をした
ので、トレーラーで競技車を引っ張っていた我々のことはすぐわかったのでしょう、目が合いました。

すっごいなぁ…来年また空港に行ったら、彼女いるかしら。

旅のおまけ『Castletown “George Hotel”』

キャッスルタウンは、マン島の南西部に位置する海沿いの町。
その昔は首都だったそうで、イギリスの「保存状態の良いお城」ベスト5に数えられる
Castle Rushen があることで知られます。

お城のそばにはモニュメントがあり…
(画像は Wikipedia より。お城側からモニュメントを見たところ。)

ラリーの時だけ、車道から右へ向かい広場(当時は時間貸の駐車スペースとして使用)を通って
奥を回ってモニュメントをシケイン代わりに使う名物コーナーがありました。
下の写真は 2009年 Rally Isle of Man の 氣谷・溝井組が、モニュメントをパスするところ。

キャッスルタウンは、我々の定宿 Sefton Express がある Ballasalla (バラサラ)からほど近く、
ご飯を食べに行くにも便利なところです。
1枚目の写真、モニュメントの向かって右に写り込むのは George Hotel 1階はパブになっていて、
いつも我々の胃袋がお世話になっています笑
今年もお世話になりました〜

正面の入り口の上はバルコニーになっていて、かつてのラリーではキャッスルタウンのタウンステージ
実況をしていたこともありました

バルコニーを見上げながら、長い指で持ったマイクをこちらへ向ける Bob さんを思い出していました。
戻ってきたよ。

Manx National Rally 2023 Awards Presentation

7pm から、表彰式がありました。
暫定リザルトに見ると、どうも我々はクラス3位になった模様。
翌日、大慌てで帰らなくてよくなった(フェリーがずれた)ので、まずは行きつけ(笑)の
Whitestone Inn(Ballasalla)で腹ごしらえをして、向かうことにします。
ラリーが終わってホテルから戻る時に立ち寄って、Booking を済ませてありました…完璧です笑

Awards Presentation 会場、Douglas のイベントホール ” Woodbourne House
外には Fish&Chips を供する Food Truck が来ており、室内では各種ドリンクを買うことができます。
遅れること約1時間…やっと始まりました。
主催クラブである Manx Autosport から挨拶があり、続いて各クラス1位〜3位の表彰へと移ります。
H1 クラス(ヒストリックの排気量が小さいクラス)の表彰。
それからまさかの Best International Crew もいただきました。
イギリスが EU から離脱してからは、ヨーロッパ圏との行き来について各種手続きが大変になり、
(ま、我々はいちいちそれをやってるんですけどね)イギリス➡︎ヨーロッパ/ヨーロッパ➡︎イギリスと
イベントに行くことが激減しているようで、このイベントでも海外からのエントリーはほとんど
ありませんでした。(アメリカ在住のイギリス人、的な人には何人も会いました)
というわけで、いただきました笑

H1 のメンバーと、パチリ。

いろいろ大変だったけど、頑張って行ってよかった。
やっとローカルと渡り合えるようになった…気がします。

翌日のフェリーは取れなかったので、1日島でゆっくり過ごします。
次の投稿からは『旅のおまけ』へ移行して、道中のあれこれをしばらく綴っていきます。

Manx National Rally 2023 “Leg 3”

この日もいい天気!…イギリスのクセに笑
さぁ泣いても笑っても今日1日。
お天気に恵まれたことにまずは感謝しながら、精一杯 出し切れるように…

サービスでは、メカニックが片付けを始めています。
日中で終わりなので投光器はもういらない。
ウマ(リジットラック)の箱がだいぶヘタれてきたので、ガムテープで補強。

こんな遠いところまで来てもらってるんだもの…何としても完走しないと。


2009年、夫がマン島ラリーに復帰した際、お向かいさんだった地元の MG-B 使い。
それ以来、勝手に “Ex-お向かいさん”(元お向かいさん)と親近感をもって現地でも仲良くして
もらっています笑(ホントは Ex-お隣さん : Escort Mk2 もいたけど、もう久しく会ってない)
前日悩んだ給油のポイントを、どこで考えてるかと女房殿と聞きに行きました。
おぼろげに思っていたそれと同じで、安堵…

順調に、2番手3番手でステージを重ねます。
ところがドライバーはそこはかとなく、ブレーキに違和感を感じていたそうです。
SS12 終了後、ブレーキの異変は疑うレベルのものではなくなり…
大慌てで車をみたところ、ブレーキフルードがなくなってしまっていました。
ひとまず SS 前の TC(タイムコントロール)まで行き、車がたまっていたので TC をくぐってから
シリコンのブレーキフルードを足しました。
SS13 終わればサービス。
どうにかして1本走ってサービスへ戻らないと。
(戻れても実は20分サービス…どうにかなるのか?)

ステージ丸々 + サービスに戻るまでのリエゾンを、サイドブレーキだけで下りてきました。
1:48:55 あたりから、フットブレーキ無しで走ってる我々が写ってます…

これは、命からがら SS13 を走りきって、わずかなリエゾンを走ってサービスへと向かうところ。
ドライバー曰く、生きた心地がしなかった…と。


さてはて、20分のサービスでどうにかなるのか?

な り ま し た。
(メドが立ったので、トイレへ急ぐドライバーの後ろ姿が写っていますね)

結果から言うと、リヤシューが「燃えて」剥がれちゃった…
バランス配分とか、もう少し考えないといけません。
すんごい乗れてたので、その辺りを考慮に入れてセッティングを煮詰め直すそうです。

優秀なメカニックのおかげで、ブレーキも修復…最後のセクションへ。
SS16(13.65km)では再びクラス1位のタイムでフィニッシュ。
気を良くしていよいよ最終 SS17 へ!と思いきや…
「 SS17 はキャンセルだから、なんでもいいからグランドスタンドへ帰れ」との指示。
(ドメスティックラリーだから?雑だなぁ笑)
どうやらかなり若いゼッケンのどれかがやらかしたようで、やや肩透かしにあった格好で今年の
Manx National は幕引きとなりました。

あんなにあれこれあったのに、どうにか道の上に残って終わってみればクラス3位。
巨匠こと Peter さんと労いあって、爽やかな午後はやがて暮れていくのでした。

一応、競技のふりかえりはここまで。
次の投稿は、Award Presentation の様子を。
その先は、『旅のおまけ』シリーズへ移ります。
しつこくまだしばらく続きますので、どうぞお付き合いのほどを。