区切り

昨年のまだ暑かった頃、義兄がこの世を去りました。
多発性骨髄腫の発見が遅れて車椅子の生活になって以来、蕨の自宅で暮らすことは難しくなり、
川口の施設へ入所 → 通院は私が担いました。
施設が金庫保管するような神経質な薬を使っていたので、原則2週に1回、外来での経過観察が
必要でした。
数値に疑問があれば投薬はすぐ中止、翌週また受診して経過を確認…となると体調が安定するまで
毎週のように通っていました。

あれだけ自由にフラフラしていた人が、弟(夫)の海外競技出場にも同行して楽しんでいた人が、
ある日を境に歩けなくなった…多くは語らない人でしたが思うところは当然あったでしょう。
感染症の蔓延も手伝って、弱ったところを見られず済んだのはせめてもの慰みだったかもしれない、
そんな風に思っていました。

そんな通院に毎度使っていたのが、ワンボックス。
リヤゲートを開けるとスロープがたたまれていて、出し入れに合わせて後部の車高が上下するいわゆる
福祉車両でした。
義兄がもう歩けない=運転できない とわかった瞬間にそれまで乗っていた車は速攻処分
して、
購入したものです。
福祉事業所が通所の送迎等に使っていたリース車両で、リースアップに伴い放出されたもの。
通所の送迎ですから、走行距離はたかが知れています。
福祉車両の専門店に相談して、選びました。


そしてお役御免となったこのワンボックス。
「手元に残す」という選択肢もなくはなかったのですが、前述の通りリフトが付いているので重い。
それと当然ですが車椅子が2台まで固定できる作りになっているので、室内に広大な空間があります。
自転車が趣味の人なら、塩梅いいレジャーの車となり得るかもしれないけど…
処分することにしました。
夫にしても私にしても、離れてはいたけど割と全力で向き合ってきた4年間だったので、この車は
ある意味思い入れが強くなっていましたが、でも。
家族ががっぷり四つで関わる介護をするにはこういう車は必須。
我々が持っているより専門店へ戻して、そういう家族の元へ渡るなら。
(車屋が持ってたんだから、整備はちゃんとしてるしね笑)
そう思って、買った店へ夫が電話しました。

担当者はやや驚いていたようだった、と夫の談。
「買い取りとかは厳しいんですよ…」
そんなことを求めてるわけではないことを伝え(こちらが業者である事も承知)、十分使えるから
次、どこかで役に立てばと思って戻そうと思っていることを告げ。
委任状・譲渡証明書に捺印したものと一緒に持ち込みたい、と申し入れました。
先方は恐縮しきり、話はまとまって今日、午後にも持ち込む予定です。
…というのも、今日は義兄の上(夫の一番上の姉)の外来付き添いの日。
巣鴨の自宅へ迎えに行き、広尾の日赤で受診→送り届けるのがルーティーン。
今日はそこから、福祉車両専門店(埼玉県北本市)まで足を伸ばして車を置いてきます。

朝、見送る側も見送られる側も、ちょっとしんみり。
家の中でまた一つ、区切りがつく…そんな朝でした。

ところで、帰り電車なんだけど…大丈夫かしら。
(湘南新宿ラインで大船まで1本だから、さすがにヘーキか笑)

いけない!
suica を持たせるのを忘れました…切符買えるかな。